妄想と現実の境界線
途中まで
誰にも憚ることく想いを抱きながら永遠を約束してくれるのだから。
それはなんと甘美な誘惑なのだろう。
神様の祝福も誓いのキスも要らない。
私が欲しいのは貴方の愛なのだから…。
夕暮れ道を歩く。
いつも見慣れた景色が今日に限って見知らないものに感じた。
ちょっとした冒険気分になって、いつもと違った道を歩く。
何だかワクワクした気分になってテンポ外れの鼻唄を歌い、夕暮れ道を歩く。
キラキラとしたこの瞬間を残せればいいのに、なんて思いながら橙色に染まった道をひたすら家に向かって歩いた夏の終わり。
もう、あの日には戻れない事を知っていた16才の夏が終わり、新な季節が始まる。
終わりなんて来なければいいのに。
大好きな人と見た夏の花火が恋しくて…
かけがえのない思い出が沢山できて、決して忘れさせてくれない貴方が大好きなんだ。
ザンツナ♀ 狼さんと軍人さんと愉快な仲間たち2
時の流れを感じさせる男の風貌に、何故だか笑いがこみ上げてきた。
あれほど忌避していたモノを手に入れた男はさぞかし屈辱に『耐え』ているのだろうと思っていた。
だが思い返せば男が『耐える』という言葉自体知らないだろう。むしろ手に負えないほど暴れに暴れた挙句、軍の出動など当たり前な光景として目に浮かぶ。
図体だけは立派に成長しても、中身は癇癪を起こした子供と同等なのだ。この男は。
腹を抱えて笑ってやりたくなった。そうすれば男の機嫌は底辺を彷徨うだろうが、それがどうしたというのだ。
時の流れを感じさせる男の風貌、それでも変わらないモノがあったことに何故だか安堵した。
その事実に何だか腹立たしくなり、男の足を踏みつけたのはただの八つ当たりでしかない。
★☆★☆ テヘッ

久々に腕を通した軍服のゴワゴワとした感触がとても懐かしかった。
決して着心地が良いとは言えない。それでも胸に過ぎ去ったモノは否定できない。
沢田綱吉嬢の頬がほんのり色づき、頬が緩む様を見た女性仕官が赤面している姿を見た男性将校が壁に激突していた。
同姓、というよりもその反応は異性に対しての反応にとても似ている事を誰も知らない。
むしろ知らないほうが良い事も在る、と言うことだ。
着心地を確かめている沢田嬢は颯爽とその場を過ぎ去った。・・・・とは言いがたく、むしろ軍服の着心地に眉をしかめた挙句、何もない場所で自らの足に躓き、そのまま壁に額を擦り付けていたりもするのだが、件の女性仕官の脳内ではそれを見事に修正されていた。良い意味で。
そんな些細な日常の1コマを取り戻した軍本部を彷徨う沢田嬢は絶賛迷子中である。
沢田嬢の方向感覚は人より優れている。むしろ第六巻と言うべきだろうか。そう言った部類の直感が人より優れている沢田嬢は地図を見なくても目的の場所へと難なくたどり着く事が出来ると言う特技がある。
むしろ沢田嬢の行動全てが「なんとなく」だの「ただの感」だのと言う言葉で形成されている。
そんな沢田嬢が感を頼りに道に迷っているのである。未だかつて無いほどの状態である事は計り知れるだろう。
時間が無くて今日はここで終了します。
次回はいつだろうか・・・・
ザンツナ♀ 狼さんと軍人さんと愉快な仲間たち
ザンツナで挫折しました。
何故だか最後まで話を書ききらないので、不発に終わったものが数多あります。
いつかサルベージされるひが来るか分からないから、一様ネタとして乗せておきます。
似て異なる世界の遠い国の王様の傍系の話。
沢田綱吉(嬢)→平民上がりの軍人さん
ザンザス→王家の傍係の更に薄い感じの血のつながりを持つ?みたいな>?
十代目(ナツ{仮})→沢田嬢そっくりの外見。でも王家のお姫様。性格的には・・・・??
外見が良く似ている沢田嬢と十代目の入れ替わり。
誰も気がつかないまま沢田嬢が十代目に。十代目が沢田嬢の真似事をしつつも王家の陰謀に巻き込まれていく。。。的な話?になる予定だったかも?な話
その男と出会ったのは何時の頃だっただろうか。
最近の事だったか、はたまたずっと昔の事だったか。とても曖昧な記憶の中にその男が鎮座していた。
良くも悪くもその男は目立った。
平和な世界では決して生きてはいけないだろう、そんな雰囲気と厳つい顔を持つその男の生き様は結構好きな部類に入るだろうか。
この饐えた世界で生きていくには多少窮屈な様にも思えたが、傲慢なほど力を欲するその男にはいい足枷にでもなっているのではないかと思えたのだ。
有触れた戦場で有触れた友軍の勝利に感極まった宴の中、その男の周りだけは沈黙があった。
漆黒で統一されたその男の姿は友軍の中でも異様であり、そして何よりその男が背負ったものはあまりにも巨大だった。
獅子の紋様に戴く王冠。中央にはⅩ(イクス)。それが意味するのはこの世界で一つだけだ。
この世で最も尊く、畏怖を集める紋章。
一度世界は滅び、そして再生した世界で最も尊い血と業を受け継いだ血族の傍系の隅に象られた一族の象徴でもある。
その男の存在は異様であり、そして絶対だった。
闇を背負うにはあまりにも闇に馴染み過ぎたその男の額から左頬にかけて大きく浮き上がる傷跡。
その男の闇が其処にある。
寒さを凌ぐために焚かれた炎から遠く、そして最も近い位置にいるその男に誰もが畏怖し続ける。
それはある一種のカリスマ的存在感とでも云うべきだろうか。
眼が離せない。戦場で戦う姿は残虐非道とも云えるだろう。だが、その男の声に従わざる終えない何かがあるのだ。
話を戻そう。その男との出会いは必然でも偶然でもなく誘発的だとしたら、この出会いを齎した存在を今すぐにでも殺しに行くところだっただろう。
それほどまでその男との出会いは衝撃的であり、そして再会はあまりにも呆気ないほどだった。
☆ ★ ☆ ★
他人の空似と言うにはあまりにも似すぎて気味が悪い、と真正面切って言われた言葉がショックと言うよりも同感だと思えた。
綺麗に磨かれた指先は箸よりも重い物を持ったことが無い、と言われても頷けるほど綺麗に整えられていた。
血筋的に言えば、目の前に似すぎるほど似ている”お姫様”は王族であり、平民上がりの軍人モドキとはうんでんの差がある。
同じ顔を並べても気品と言うのだろうか、王族オーラを漂わせる”お姫様”は不躾なほど怪訝な表情を見せる。
まるで王族の誰か(この場合目の前の”お姫様”の両親のどちらか)のご烙印と言われても呆気なく頷けるほど似過ぎている事が問題だった。
銃撃音の止んだ戦場は友軍の勝利で幕を閉じた。
多少、司令官の戦場からの逃亡と言うイレギュラーがあったにせよ、戦局は一端の落ち着きを見せている。
それに乗じて王族に名を連ねる目の前の”お姫様”が視察と称してやって来たのだ。
王都から北上した国境沿いの平野に築かれた砦には、現在司令官不在のまま迎えることとなった”お姫様”が実質的な司令官の座に座っている。例え戦場を知らない”お姫様”であったとしても本国から命令は絶対である。故に、護衛の任を負かされた沢田綱吉嬢は似すぎるほど似ている”お姫様”と対面を果たすこととなったのだが、何かの因果があるにせよ沢田嬢の任務は王族の護衛であることには変わりは無いのだが、その護衛すらままらない状況を作り出そうとしつつある”お姫様”は多少質の良すぎる笑みを浮かべていた。
「これに着替えて頂戴」 何処から溢れるのか自身に満ちた声は有無を言わせる事無く、平民では一生着る事が無いだろう手触りの良い生地の洋服が無造作に手渡された。
侍女を部屋の外へ追いやり、持ち込まれた衣類から選ばれた洋服と”お姫様”を交互に見つめた沢田嬢は疑問を口にしても良いものか悩んでいた。
同僚からはちょっと抜けたドジッ子として名を馳せる沢田嬢は軍人としてはとても優秀なのだが、と言う同僚たちの言葉をそのまま体現したような少女である。
そして王族への意見を出来るほど沢田嬢の身分は高くなかった。故に、王族の”命令”を実行すべく沢田嬢は軍服へと手を伸ばしたのだった。
初ツナ♀3 設定
始まりを知らなければ終りも知らない。
継承の儀は断たれ残されたのは怠慢にも膨れ上がり過ぎてただれた因習。
流石にその一端を担ってしまった責任はいやめないが、だからといって受け入れる事など出来る筈もなく。
この際全てを一掃するべきか、と思い立ったが吉日。
終りを知らなければその身をもって叩き込んでやろうと思っていたが、その必要性が絶たれた。
悪習まみれのただれた因果関係に終りをもたらしたのは彼の偉大な大空。
確かに、大空の系譜を継承する青年。
廃れた敬称の儀をその血を持って復活させた今代の大空。見るも鮮やかな風に大空の系譜は終焉を知る。
いずれ何の因果か手元に転がり込んだ指輪は本来の持ち主の元へと還ることだろう。
その時こそが偉大なる大空の終焉の時だ。
業のなせる血によって築かれた城は終わる。Ⅹ世(デーチモ)を受け継いだ自分には出来なかった終わりが。
寂しさは無い。ただ今代に背負わせてしまった事実に泣きたくなった。ダメツナの名は返上できたと思っていたがそうでもないらしい。肝心なときにトチってしまったのだから。
きっと守護の名を冠する友達は笑って、ツナらしい、と言ってくれるだろう。
古くからの家庭教師様はニヒルな笑みを浮かべ、お仕置きだ、なんていっている頃か。
どちらも呆れている事には変わりなく、無性に皆に会いたくなった。
初ツナ♀設定2
よく晴れた日ほど心地よい眠りに誘われるのは必須。連日続いた豪雨が嘘のように晴れた空に架かる虹を見上げながら抗いがたい眠りに身を任せてみるのも一興だろう。
まるで平和、と言う言葉が当てはまるかのような平凡な日常。何度夢にまで見たそれが有触れた日常として存在する軌跡。
平凡と普通をこよなく愛する沢田綱吉少年改め、沢田綱吉嬢は長閑な日常をかんぽするのだった。
身に付けた小物は少女と言うよりは少年と表してしまうほど質素なものばかりだ。
不揃いの短く切られた蜜色の髪は散発と言うよりも、まさに切った、と言うべきか。癖毛の髪がさらに突拍子も無い方向に飛び跳ねていた。
平均以下の身体がさらに少年のようにも思わせる沢田嬢の心許ない胸元にはかつて沢田少年時代に継承し、次代へと引き継がれた指輪が陽の光にキラリと輝く。
忌々しくも受け継がれるべき血は大空の系譜。
しかもありがたいことに直系ときたら、嘆くのも馬鹿らしいほどだ。
幾度となく破棄したはずの指輪が手元に舞い戻ってきたときには流石に殺意すら沸いたほどだが、今となっては諦めの境地だ。何事も諦めは肝心だと思う。無能な今代が悪いのだ。
かつての殺伐とした人生よりも今の長閑で平凡な人生を生きることを決めた沢田嬢の第一歩として、昼寝を決め込むことにした。
初ツナ♀設定
記憶の奥底に確かに存在した、自分であって自分ではない思い出。何の因果が成せるか知らないが、いい迷惑だと思っても仕方がないだろう。
怒涛の様な人生だったとしても、死ぬその瞬間まで浅ましいほど生きた人生。
何気に満足した人生だと思っていたが、間違いだったのだろうか。意識しなくとも滲み出てくる記憶と言う名の思い出。
哀しいのか。嬉しいのか。よく分からないが、まぁあれだ。
責任者出てこい
小さな恋の詩5( 初ツナ)
何ともお粗末な結果に泣きたいような情けないような。
確かに油断していた部分は互いにあった。
だが、誰が信じようか。こんな大海原のど真ん中。しかも海底をかける潜水艦だ。
そんな最中、敵襲を知らせるアラーム音が艦内に響き渡った。
咄嗟に互いの顔を見合わせる悪友二人の姿が何とも間抜けで、だがしかし。アルコバレーノと呼ばれる二人に悪寒が駆けていったのは気のせいではないだろう。
その証拠にアルコバレーノはアルコバレーノでもパシリ性分が板についたスカルが身を震わせながらアタフタと二人から遠ざかろうとして失敗していた。
襟首を両側から捕まれ、蛙が潰れたかの様な声がアラーム音が響き渡る艦内で鮮明に聞き取れた。
そっと、その場に居合わせた艦員達はスカルから眼を反らすのだった。
触らぬアルコバレーノに祟りなし。
まるで災厄から身を守るためにアルコバレーノ最凶と名高い二人に生け贄にされたスカルだった。
ニヤリ、と良からぬ顔をする家庭教師と鬼教官がタッグを組んだら最凶だろう。ありとあらゆる意味を込めて。
そしてそんな二人を止められる存在は生憎とこの艦内には居なかったのだ。
よりによってこの瞬間に攻撃を仕掛けてきた敵対組織に内心黙祷を捧げながら嬉々として指示を出す二人の後ろから傍観者に徹する事にした。
両側から襟首を捕まれたままのスカルは、どうやら敵艦への特攻隊になったらしい。
海底からどうやって敵艦へ行くのかは謎だが、きっと知らない方がいいだろう。
魚雷発射を指示している傍ら、スカルが敵艦に行ってしまったら、敵艦と一緒に心中してしまうのだが、やはりそこにも触れない方がいいだろう。艦員達がスカルにエールを送りつつも知らぬ振りを決め込むのだ。
やはりスカルは苦労性だ。そして不幸体質なのだろう。アルコバレーノ限定で。
小さな恋の詩4( 初ツナ)
何故なら、巨大ロボットにはなれないのだから。
後悔はないかと聞かれても、今更な気がしてならないのだ。一度として拒否権を行使させてもらえなかったのだから。
小さくとも大人の滑稽さをもつ家庭教師の美学はいまだに分からないが、そろそろ腹をくくらなければならない時期なのだろう。
そうじゃなければ家庭教師の鉄砲が火を吹くだろう事は眼に見えている。
誰かに認められる事が嬉しくて、信頼を寄せてくれる友達と共に歩く未来に期待は確かにある。だが不安なのだ。
胸に渦巻く不安が現実になりそうで、不安を口にすればそれが真実になってしまうのではないのかと恐怖を感じる。
腹をくくらなければならない。
例え不安に苛まれ様と、信頼を寄せてくれる友達の為に。期待してくれるじい様達の為に。何より、家庭教師の為にも。