妄想と現実の境界線

世界屈指と名高いボンゴレはある一種のブランドだ。
世界各国で産業革命を起こすほど、ありとあらゆる企業が軒を連ねボンゴレ系列に組したがる様は世界のトップたる風格さえ漂わせていると言うもんだ。
そんなボンゴレの直系でありながら東国の島国で一般家庭に育った沢田綱吉こと通称ダメツナは今年十四才を迎えたばかりの多感なお年頃だ。例えボンゴレの次期当主として名が最上位に上がっていようとも「ボンゴレ？何それ食べ物？」とまであっさりと言ってのけるツワモノだ。
そんな綱吉を危惧したボンゴレ九代目当主は一人の家庭教師を差し向けた訳である。
かくして沢田綱吉のダメツナライフは終りをつげた。


憂鬱な気分は一月ほど前からあった。何かの前触れかの様に付きまとう憂鬱な気分は確かに前兆だったのだ。後に「陰謀だ　!!!」と悲痛なまでの雄叫びを上げる綱吉の姿が目撃される事となる。
長年放浪する父親と遥か遠い親戚にあたるイタリアを拠点として君臨するボンゴレファミリー現九代目当主の爺様に好意と言う悪夢を頂戴した沢田綱吉はその厳つい名に反したダメダメな男だった事を見事証明してくれた。
勉強・スポーツ何をやらせてもダメダメなダメツナの愛称で呼ばれるほど平凡な顔立ちの怠け者で臆病者な沢田綱吉の人生に根性と言う字は存在していなかった。
そんな綱吉がただひとつ人より勝れていたのは超がつくほど直感に優れてていたことだろう。
大抵が「なんとなく」ですませる綱吉は、直感があっても何故だか被害にあう。変人と変態に好かれる体質らしく、常に周りには変人と変態に囲まれ本来の地味さとはかけ離れた美貌の青少年に囲まれた日々を送っている。
揃いも揃って変人奇人変態の三拍子揃ったヤローどもの顔だけは、顔だけ綱吉が認める程の美貌を誇っているのが唯一の救いだろうか。

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