妄想と現実の境界線
お題:長文題より 冬←一護←浦+愛+他
「こんな痛みを知らないままなら、一生苦しまずにいられたのに」
なんども、なんども、それこそ想いを抱いた瞬間から考えてる。
血の繋がりなんて無ければよかった、と。そうすれば堂々とアイツの傍に居られるのに、と。
そんなとり止めも無い想いは決して現実にはならない。それでも考えてしまう。
心が潰れそうなほど、なんども、なんども。
そんな想いを知っているくせに、知らないフリをする男の滑稽さに少しだけ救われた。
幾度と無く、それこそこの想いを男に悟られた瞬間から男は笑っていた。
凍えるような瞳で、いつも薄っすらと口元に笑みをたたえて。
本音を言えば、男との関係を嫌ってはいない自分がいるのだ。
甘えるだけでも縋るだけでもない。
この不毛な想いを抱えたまま男と肌を合わせるのは幾度と無く躊躇いを感じても、それを拒絶できなかったのは男を多少なりとも好いていたからなのだろう。
今となっては、それはどうでもいい、こと、なのだが。
快楽の波に押し潰された思考を幾度と無く放棄しても、考えは自然と湧き出てくる。
もし、と言う言葉があるのならば、この想いはただの家族愛だと、そう言える自分が居たならば、この想いの行く先はきっと目の前に居るこの男に向いていたのだろうか、と。
似非笑みを浮かべた男の腕は何処までも優しく、滑稽なほど強かさを持っている。
だから逃れられないのだろうか。そんな気さえ起こさせてくれない男に身を委ね、男の背に浮かぶ月を見上げる。
こんな不毛な行為すらきっと俺たちには必要なことなのだろう。
そう、ありたいと思った瞬間から。
☆男女の双子で5題(双子兄冬←妹一護←藍+他)
☆恋する台詞(上の続編) 設定
以上の続編
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